Micro-ISVはハイリスク、ハイリターン?

2010/02/19 at 10:58 コメントをどうぞ


綱渡り

昨日、知り合いの人々とMicro-ISVについて話をしました。参考として彼らはみんな今でこそ私と同じく、外資系IT企業のプリンシパルコンサルタントの役職を持っていますがそこまでの経歴はSIer、コンサルティングファーム、研究所など、様々です。彼らと今後のキャリアのことを議論し、その際にMicro-ISVの話も出た訳です。

結論からすると彼らはMicro-ISVはハイリスク・ハイリターンだと思っているらしいです。これは私には結構以外でしたね。私はMicro-ISVはローリスク・ローリターンかなと思っていたからです。それで彼らに「ハイリターンはさておき、なぜハイリスクと考えてんの?」と聞いてみました。彼らは色んなことを話しましたが、要約すると下記の2つになります。

・Micro-ISVをやって当たりを出す、つまり売れるソフトを作るのが難しそうだ。

・運良く売れるソフトが作れたとしても他の人や会社が同じものを作って顧客を横取りされる可能性が高い。

ふーむ、なるほど。

彼らの意見にももちろん一理はあります。十分あり得る話です。でも私の観点からは、彼らは実はMicro-ISVなど、自分で事業を興すことについてはあまり考えたことのない、言わば典型的なサラリーマンです。彼らが持っているMicro-ISVに対するイメージはイメージにしかありません。私もMicro-ISVを考えるまでには色々調べたり勉強したりしている訳です。それにここ1年間の経験から得たものもあります。これから上記の二つの懸念事項について私の考えを書いてみます。

・Micro-ISVをやって当たりを出す、つまり売れるソフトを作るのが難しそうだ。

これはもちろん事実です。ただし、これは製品をリリースする数を増やしていけば当たりが出る確率は上がって行きます。しかも毎回の失敗から着実に学習をし、方向修正、改善を重なって行くと成功する確率はより高くなる筈です。大事なのは成功するまでのイテレーションの数、そして各イテレーションにかかる時間を如何にに短縮するか、つまりいくら早いタイミングで成功するかだけだと思います。(なお、この考え方については既にProduct DevelopmentからCustomer Developmentに事業活動の重みを移行すべきだとの理論が出ています。以前のポスティングでも言及したEric Ries、Steven Gary Blankなどがその理論の代表者であり、彼らの主張するリーンスタートアップの活動にはあのKent Beckなども参加しています。これについては後でより詳しく書きます。)

・運良く売れるソフトが作れたとしても他の人や会社が同じものを作って顧客を横取りされる可能性が高い。

まあ、これはマーケット進入へのハードルについての話だと思います。でも彼らはマーケティングやブランドについては考慮していません。もし私が自分のMicro-ISV、或は自分自信のブランドを築く事さえできれば、製品だけが価値のすべてではなくなります。その場合は単純に製品をパクることで私のマーケットを奪う事は難しくなります。

また、製品自体は簡単にコーピーできてもその中の思想やサポートなどの付加サービス、将来の更なる拡張・改善に対する信頼など、容易にコーピーできないものもあります。つまり、既存製品の劣化コーピーは簡単に作れるけど、それはその時のスナップショットのコーピーでしかありません。

そしてもう一つ、自分のマーケットを取られることがあり得るなら、逆に人のマーケットを取ってしまうこともあり得ることです。既存のいい製品に若干の改善を行い、自分が他の製品の顧客を横取りすることも十分価値のある一つの戦略だと言えます。(実は、歴史的な、そして統計的な観点からするとファストムーヴァー(First Mover)よりはベストイグジェキューター(Best Executor)がいつもほとんどのマーケットを勝ち取ります。)

私からすると、彼らは起業を既存のウォーターフォール形式の、すべてを掛けた、一か八かの賭けとして思っているように見えます。でも私が思う起業はよりアジャイルなものです。ヴィジョンは持ちながらもそこまでのアプローチは状況に応じて柔軟に変えるもの、そして一回性ではなく、成功するまで何回も学習・改善しながら繰り返すこと、これが私の考える起業です。(Steven Gray Blankの定義による、成功するスタートアップとは、持っているリソースを使い切るまでにできるだけ多くのイテレーションを行い、その中で成功を収める企業です。)

Micro-ISVは更に、本業を持ちながらサイドジョブとしても始められます。そしてMicro-ISVから得られる収入が既存の仕事をやめてもいい位に十分になった時にMicro-ISVに専念するという、より時間はかかるけどより安全なアプローチを取る事もできます。この場合ローリスクと言えますが、だからといってローリターンに限られる事もありません。つまり私の観点からはMicro-ISVはローリスク・アンノウンリターン(Low Risk Unknown Return)です。そして今のサラリーマン生活を何の将来に対する対策もなく続ける事こそがハイリスク・ローリターンだと思います。(ここではリスクを自分では制御・予測できないこととして使っています。)

まとめると、起業(ここではMicro-ISVを指していますが、他の起業も基本的には同様の性質を持つと思います。)とは一回の勝負ではなく、一つの旅程だと考えることが大事だとの事です。誰もが最初に経験することに成功することは難しいです。でも経験と学習を続けると成功する確率は必ず上がります。じゃあ、残った課題は成功するまで諦めず継続することだけです。

どうですか?このような考え方はおかしんでしょうか?

今でもMicro-ISVはハイリスク・ハイリターンに見えますか?

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・この文書はMacISVのブログにも投稿されています。

・内容についてのご意見や突っ込みはいつも歓迎です。

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